大杉 漣さんの遺作、映画 教誨師を観に行きました。
劇場は有楽町のスバル座
レトロな映画館で落ち着いて観られました。
対話劇の中、徐々に現れてくる人間の真実。
酒場をやっている身としては、野口という女性の、最初は肯定して欲しくて延々と喋り続けている姿、話終わった後、相手が共鳴してくれないといきなり態度が豹変して、相手を責め続ける、
その自己肯定を激しく求める感情の起伏が描かれていたところに、この映画の人間を映す力として感銘を受けました。
また、ストーカー気質の人間の主観。
若かりし頃には感染しがちな、社会への抹殺動機。
知恵の回る犯罪者がやる延命への手段。
それぞれを、きちんと捉えていて染み入りました。
中でも私が一番切なく、しかし現実はこういうことが事件にならなくても起こっていると思ったシーンがあります。
貧しくも懸命に、真面目に生きているお父さん。
少年野球の会費3000円を払わない家に、払ってもらわないと立て替えるのも大変で、何度も断れながらもやむなく22時頃に取り立てに行く、
その時に放たれた言葉
「3000円くらいの金でわざわざこんな時間に来るなよ!」「そんなんだから、、、」
そういう事を平気で言ってしまう人が矢継ぎ早にもっとひどい事を言って、結果事件は起きてしまいます。
日常の中では、事件を起こさないように堪えながらも、こういう自らを恥じない人によって辛い思いをしている人もいます。
映画を通じて、デリカシーのない言葉の暴力をなくしていきたいなと、切に響きました。
大杉 漣さんのプロデュース、主演の教誨師。
まさか遺作になってしまったのは残念でなりませんが、
役者として映画の中で輝き続けるのだと思いました。
ご紹介くださった女優のK様、深い感動をありがとうございました!
皆さま是非、劇場でご覧下さいませ。
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中野南口