現在2022年1月中旬、東京ではまたコロナがオミクロンとなり猛威を振るい始めました。
この状況下で、私は一つの決意を表明したく、忘れないようにここに記します。
少し長くなりますが、ひとつの想いがこもった表現として捉えて読んでいただけたら幸いです。
Bar Vivreの店名の由来にフランスの慣用句がございます。
~art de Vivre~ 訳すると 人生は芸術
その意味は、自分の好きな世界を描くように人生を彩ること
3年前に開店したこのBARは、
1900年代のイギリス、アンティーク家具に囲まれた内装
ブビンガの一枚板のカウンター
座り心地の良いアンティークの椅子
ずっと自宅にて取って置きにしていたシングルモルト カルバドス コニャック を遂に放出
贅沢な素材を使って作る、自分が美味しいと思うカクテル
私の好きが詰まったBARです。
そのようなコンセプトなので、商売という概念からはちょっと離れたBARかもしれません。
カウンターは6席 カップルソファ1席 のBARです。
私にとって良いBARとは
長い目で見たとき、呼吸をするように忙しい夜もあれば、静かでゆっくりと話せる夜もある。
そのバランスがとれたBARが、本当に良いBARなのではないかと。
そのように私は考えております。
話は変わりますが、私には心の親方がいます。
銀座のBAR 草間さんです。
http://www.ginzanoyoru.com/shopinfo/35711186/35711186.html
草間さんは普段から我々後輩にとても優しくて、でも筋が通らないことにはびしっと厳しく叱る力強さも備えている。
帝国ホテルで29年、独立されてから先日20周年を越えた本当に人柄の素敵な親方です。
親方の更に親方は90歳を越えて尚現役のレジェンドバーテンダー福島さんです。
https://www.bar-times.com/contents/83268/
お二人に通ずるものは長くカウンターに立ち続けるには、目先の売り上げよりもバーテンダーとしての信念を常に優先しているところ。
かといって決して高圧的ではなく、むしろお二人ともとても柔らかい接し方でお客様と長いお付き合いをされております。
また草間さんの本当に凄いところは、私が草間さんのカウンターで飲んでいた時、同じくカウンターで飲んでいたとある常連様が言った言葉です。
「昔は飲み方わからなくてマスターに怒られましたよね。今こうして銀座のバーで飲めているのは草間さんのおかげです」と。
私は若い時分、バーテンダーはお客様を察し、同調することが良し、と捉えておりました。
実際、若いときはその方が可愛がられると思います。
しかし、自分の城を構えてからはそれだけでは済みません。
それは違うとお客様に伝えて、尚且つまた来て頂けるような懐の深い伝え方。
そんな草間さんのようなマスターになりたい、と思いました。
そのお客様が私の隣で穏やかに「昔は~」と言いながら飲む姿。
私も年を重ねたら、かく在りたい。
そう思う、とてもお酒が美味しい夜でした。
実際昨年、カウンターに立てず、先行きが見えず、本当に苦しい思いをしました。
ただ、自粛が明けたら、ようやくカウンターに立ったら、サプライズが待っていました。
Barが好きなお客様、
長いお付き合いのお客様、
ずっとBarに行ってみたかった、
ようやくチェックしていたこの店に初めて来られたとおっしゃってくださった若い女性のお客様。
「待ってました!」 この声の尊さを知りました。
さらにバーテンダーとしての本音を語れば、
そもそも、BARが好きなお客様はコロナ対策が十分にできております。
オーセンティックバーでは、特に銀座には暗黙のルールがあるようです。
大きな声で話さない。
人にむやみやたらにしゃべりかけない。
つまりBARが好きなお客様は男性も女性も一律にデリカシーがある。
デリカシーがある空間が心地よいお店を作っているのだとわかりました。
ありがたいことに当店にいらっしゃって下さっている素敵なお客様に支えられ、
良いBARの空気を作って頂いていると、改めて気づき
深く感謝の念を抱きました。
最後に大切にしていることわざがあります。
実るほど頭が下がる稲穂かな
この精神を忘れずに歩んでいきます。
そしてコロナ禍でも見えて下さる、応援して下さるお客様に感謝の念を抱き、
今年をまた乗り切ろうと決意致します。
皆様、何卒どうぞ宜しくお願い申し上げます。
Bar Vivre Bar ILLUSIONS 髙橋 学